ラロ:スペイン交響曲よりアンダンテ/ハイフェッツ/1919年録音

ラロ:スペイン交響曲 Op.21~第4楽章:アンダンテ

(Vn)ヤッシャ・ハイフェッツ ジョセフ・パステルナーク指揮 管弦楽団 1919年10月14日録音

SP盤からLPレコードに変わったときに、その音の変化に対して否定的な人が多かったようです。その後の流れから見れば時代錯誤としか言いようのない「石頭」だと言われてそうなのですが、保存状態のよいSP盤を良好な状態のクレデンザなどで再生した音を聞かされると、それは必ずしも「石頭」とは言い難いことに気づかされるものです。
そして、それと同じようなことが、アナログからデジタルに切り替わったときにもおこったのですが、こちらの方は時代錯誤の石頭ではないことはすでに明らかになっています。
そして、時代をさらに遡れば、アコースティック録音から電気録音に切り替わった1920年代にも、その音の変化に対して否定的な人々がいたようなのです。さすがに、それはいくら何でも「石頭」に過ぎるだろうと思うのですが、それでもそう言うフォーマットの変更に対して否定的な評価を行う人というのは常に存在したと言うことです。

しかしながら、このハイフェッツの録音を聞かされると、原始的なアコースティック録音を評価した石頭の人達の気持ちが少しは分かるような気がします。確かに、オーケストラの音はしょぼさの限りです。しかし、その何かがブンブン鳴っているだけのオケを背景にヴァイオリンが鳴り出すと、そこに何とも言えない妖艶で艶めかしい世界が広がるのです。とりわけ、そのヌメッとしたようなヴァイオリンの響きは妖しさの限りです。
そして、そう言う怪しい世界は電気録音によって消えてしまったのです。
そう言えば、女性が美しく見える条件として昔から「夜目、遠目、傘の内」と言われたものです。要は、はっきり見えずにボンヤリ様子が分かるくらいの方がいいと言うことです。
そして、その絶妙なまでの「夜目、遠目、傘の内」を実現しているのがアコースティック録音の原始的な仕組みだったのかもしれません。

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