ラフマニノフ&クライスラー/ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ 第8番/1928年録音

ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ 第8番 ト長調 Op.30-3

(P)セルゲイ・ラフマニノフ (Vn)フリッツ・クライスラー 1928年3月22日録音

ベートーベンのヴァイオリン・ソナタなどと言うものは本当に人気がありません。
こういうサイトをやっていると、新しい音源を追加するたびにどの程度のアクセスがあるのかはすぐに分かりますから、どういうジャンルに人気があって、どういうジャンルが人気がないのは一目瞭然です。

人気があるのはやはり交響曲です。それから協奏曲が続きます。
逆に人気がないのは室内楽曲で、とりわけヴァイオリン・ソナタとか三重奏曲などと言うのはほんとに人気がありません。アクセス数で言えば、交響曲の半分どころか三分の一にも達しないほどです。

ただし、その原因は聞き手の怠惰だけでもなさそうです。
なぜならば、こういうかつての大物二人による演奏を聞くと、録音の古さなどは吹っ飛んでしまうほどの面白さに満ちているからです。

おそらく、ベートーベンのヴァイオリン・ソナタを立派に演奏できる人は今もいるでしょうが、こんな風に面白く演奏できる「芸人」は絶滅してしまいました。
とりわけ、ラフマニノフの安定したピアノのおかげで、クライスラーは好き勝手に駆け回ることが出来ているので、その面白さたるやこの上無しです。

そして、もしもこういうふうに演奏できる人が今も生き残っていたならば、室内楽というタグを見ただけでスルーしてしまう人も随分と少なくなったのではなでしょうか。
何しろ、立派であっても面白くない演奏というのは、やはり誰しもが願い下げにしたいからです。