メンゲルベルク/ブラームス:交響曲第3番/コンセルトヘボウ管弦楽 1932年録音

ブラームス:交響曲第3番 ヘ長調 作品90

ウィレム・メンゲルベルク 指揮 コンセルトヘボウ管弦楽団 1932年5月10日録音

これはもう、色んな意味で驚かされる録音です。

まず一つめは、1932年録音というクレジットが信じられないほどに録音がクリアだと言うことです。
1950年代初期のモノラル録音だと、これよりもクオリティが落ちるようなショボイものもありますから、これはもう大したものです。
おそらく、幸運に恵まれて金属原盤が残っていたのかもしれません。

次に驚いたのは、メンゲルべくらしくない(^^;直線的な造形が貫徹していることです。なので、最初はオケがニューヨークフィルだと思ったのですが、何と、手兵のコンセルトヘボウだったので、さらに驚かされてしまいました。

メンゲルベルクと言えば細かくテンポを動かし、さらには細部にこだわるので、結果としてドロドロな音楽になる人というイメージがあります。
もっとも、そのようなドロドロ路線はそれなりに面白くて、メンゲルベルクを聞く楽しみの一つではあるのですが、ここではそう言う気配はほとんどありません。

20年代後半から30年代初め頃に、メンゲルベルクはトスカニーニ統治下のニューヨークフィルと深い関係を結ぶのですが、そう言うトスカニーニ流の音楽の作り方を手兵のコンセルトヘボウでも適用してみました、と言うことだったのかもしれません。
とは言え、細かく見ていけば微妙にテンポを動かしている部分はあるのですが、それでも全体の大きな流れに逆らうほどの違和感は感じさせません。

メンゲルベルクは、コンセルトヘボウとの組み合わせでもこういう音楽をやっていたんだと、認識を新たにさせられる録音です。