ラフマニノフ:ピアノ協奏曲 第2番 ハ短調 Op.18
(P)セルゲイ・ラフマニノフ レオポルド・ストコフスキー指揮 フィラデルフィア管弦楽団 1929年4月10日&13日録音
ラフマニノフは巨大な手をもっていて1オクターブ半を同時に押さえることができたと言います。
そして、その事を持ってして、この作品はこのように演奏するんだよと言うスタンダードを示したのがこの録音でした。それ故に、多くのピアニストにとっては困ったことに、録音的にはかなり苦しいものがあるにもかわらずその価値は永遠は消え去ることはないのです。
なぜ困るのかと言えば、例えば冒頭の和音からして、手の小さなピアニストならば同時に抑えることが出来ないので分散和音で乗り切らざるを得ないのです。
それは、必ずしも女性ピアニストだけに限った話ではなくて、それなりになの十多段生ピアニストでもけっこう苦労している人が多いのです。
さらに、ラフマニノフは一般的な感覚からすればかなり早めのテンポで演奏していくのですが、それが決して軽業師的な演奏にはならないのです。
このような技術的に難しい作品のテンポをあげるというのは、それだけをもって困難がともなうものですが、ラフマニノフはそのテンポでもって淡々と安定感を持って素晴らしい歌を歌い上げていくのです。
それどころか、微妙にテンポを揺らしながら歌い上げていく様な場面があちこちにあって、その「歌」が技術的困難さという鎧を見えにくくさせているのです。