J.S.バッハ:G線上のアリア(マーラー編曲)
ウィレム・メンゲルベルク 指揮 ニューヨーク・フィルハーモニック 1929年1月14日~16日録音
これは「G線上のアリア」というよりは、マーラーが編曲したバッハの管弦楽組曲から「Air」だけを抜き出したものです。
ですから、タイトルを「J.S.バッハ:G線上のアリア(マーラー編曲)」としたのはいささか正確さに欠けます。
何故ならば、マーラによる編曲版というのは管弦楽組曲の第2番と第3番から適当に4曲を抜き出して再構成したというとんでもない作品だからです。
今の時代ならば「神をも恐れぬ仕儀」と言われそうなのですが、逆にそう言うことがまかり通っていたという処に、トスカニーニ達が乗り越えようとした「ロマン主義的歪曲」の一端を見る思いがします。
ちなみに、マーラー編曲の「管弦楽組曲」は以下のような構成になっていたようです。
- Overture:第2番「序曲」
- Rondeau-Badinerie:第2番「Rondeau-Badinerie」と「Badinerie」
- Air:第3番「Air」
- Gavottes I,II:第3番「Gavottes」
前半の「Overture」と「Rondeau-Badinerie」にはオルガンが使用されているのですが、後半の「Air」と「Gavottes」ではそこまでの大仕掛けは用いられていません。
しかし、「Air」では低弦楽器が刻むピチカートが印象的で、聞きようによってはバッハがマーラーのアダージョに変身したように聞こえます。
また、「Gavottes」では通奏低音であるはずのチェンバロが駆けめぐります。
メンゲルベルクも、どうせやるならこの全曲版を録音してほしかったですね。