J.C.バッハ:シンフォニア 変ロ長調 Op.18-2
ウィレム・メンゲルベルク 指揮 ニューヨーク・フィルハーモニック 1929年1月14日~16日録音
ヨハン・クリスティアン・バッハ(Johann Christian Bach)とは、言うまでもなくあの偉大なJ.S.Bachの11番目の男子であって、何よりもロンドンを中心として活躍することで「ロンドンのバッハ」と呼ばれて世界的名声を獲得した音楽家です。
よく知られているのは、彼がモーツァルトに多くのことを教え、モーツァルトもまた彼のことを深く尊敬していたと言うことです。ですから、モーツァルトがその手紙で「バッハ」と記しているときは、それは全てこの息子の方のバッハを指していることは有名な話です。
つまりは、19世紀に入ってメンデルスゾーン達によってバッハが復活するまでは、バッハと言えば息子のクリスティアンの事だったのです。
そんなクリスティアンの残した功績の一つが「急ー緩ー急」というスタイルを取る一連のシンフォニアです。その代表が作品18としてまとめられている6曲のシンフォニアでしょう。
- シンフォニ ア変ホ長調 Op.18 No.1
- シンフォニア 変ロ長調 Op.18 No.2
- シンフォニア ニ長調 Op.18 No.3
- シンフォニア ニ長調 Op.18 No.4
- シンフォニア ホ長調 Op.18 No.5
- シンフォニア ニ長調 Op.18 No.6
それらは、後のモーツァルトの初期シンフォニーに大きな影響を与えていることは間違いありません。
モーツァルトがメヌエット楽章を持った4楽章編成の交響曲を書くのはウィーンに滞在して、そこで新しいスタイルの音楽を知ったのがきっかけでした。
幼いモーツァルトにとってはこの「ロンドンのバッハ」ほど大きな存在はなかったのです。
そして、こういうレアな作品を20年代に録音していたメンゲルベルクの守備範囲の広さにも驚かされます。