メンゲルベルク/リスト:前奏曲/コンセルトヘボウ管弦楽団

リスト:前奏曲 S.97

ウィレム・メンゲルベルク 指揮 コンセルトヘボウ管弦楽団 1929年6月11日&15日録音

これはメンゲルベルク&コンセルトヘボウという組み合わせがもっている美質を最高に発揮した演奏だと言えそうです。それはもう、明暗のはっきりとした色彩の濃い物語です。
そして、そう言う色彩の濃さは、 部分部分において入念に表情付けがなされていて、その一つ一つの表情付けがたまらなく美しいからでしょう。

確かに、音楽の気宇壮大さという点ではフルトヴェングラーによる有名な録音に一歩譲るかもしれません。
しかし、入念な表情付けがもたらす美しさと、その語り口の上手さという点ではこれに匹敵する演奏はなかなか思い当たりません。

そして、こうやってその二人の手になる「前奏曲」を聞き比べてみると、フルトヴェングラーという人はソナタ形式を根幹に据えた論理の音楽家だと言うことに気づかざるを得ません。
それと比べれば、メンゲルベルクという人は最初からそう言う精密な設計図などは用意しないで、その場その場の状況に合わせて実に機敏に反応していく指揮者なんだと納得する次第です。

当然の事ながら、設計図がなければ巨大な建築物は仕上がりません。
しかし、ストーリー・テラーとしてみればそんな設計図などはない方がネタバレはしなくてすみます。

この「前奏曲」などは、そう言うメンゲルベルクの資質がとてもいい方向に向かって発揮された演奏だと言えそうです。

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