マルグリット・ロン/モーツァルト:ピアノ協奏曲第23番

モーツァルト:ピアノ協奏曲第23番イ長調 K.488

(P)マルグリット・ロン フィリップ・ゴーベール指揮 パリ交響楽団 1935年12月13日録音

これはもう、好き嫌いがはっきりしそうだなと思ってしまう演奏です。
それは、マルグリット・ロンというピアニストの特徴がはっきりと刻み込まれているからです。

何度も書いてきていることですが、マルグリット・ロンの特徴はその恣意的とも言えるほどの主観性に貫かれた語り口にあります。
そして、その語り口が独特であるがゆえに、今のスタンダードな演奏を聞きなれた耳からすればどこか基本的な構成が壊れてしまっているような気がするのです。

しかし、振り返ってみれば、昔はみんな好き勝手なモーツァルトをやっていたのです。
そして、そこにはその人ならではの物語性があったような気がするのです。

ざっと思い出すだけでも、途中で何処を演奏しているか分からなくなって演奏が止まってしまっても、それでも指揮者と簡単に打ち合わせをして何事もなかったかのように演奏を再開して、そんな失敗などなかったかのように弾ききってしまったシュナーベルとか、独裁者スターリンが最後まで手もとに大切に取ってあったマリア・ユーディナのピアノ協奏曲第23番とか、この上もなくエレガントなモーツァルトを演奏した「6人組の女神メイエル」とかを数え上げることが出来るのです。

そして、マルグリット・ロンもまた、そう言う物語を持った素敵なピアニストの一人として数え上げることが出来るのです。

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