マルグリット・ロン/ショパン:幻想曲

ショパン:幻想曲 ヘ短調 作品49

(P)マルグリット・ロン 1929年5月11日録音

こんな事を書くとお叱りを受けそうなのですが、最近のピアノ演奏は手堅くきちんと弾けているのですが、なんだかどれを聞いてもみんな同じように聞こえてしまいます。特にショパンはそうであって、一音たりとも曖昧にせずに完璧に弾ききっているにもかかわらず、どれもこれもが同じように聞こえてしまいます。

おそらくそれは同じ、物語を語っているのではなくて、そもそも物語が存在しないからなのでしょう。
もっとも、そんなことを言えば、音楽に物語を持ち込むのがそもそも間違いなんだよ、ホームズ君!!とでも言わてお仕舞いです。

しかし、昔を振り返ってみれば、名のあるピアニストにはみんなその人ならではの物語がありました。それはドイツ人のシュナーベルであっても、フランス人のコルトーであっても同じ事です。
そして、このマルグリット・ロンもまたそんな物語に満ちたピアニストでした。

ただし、彼女の物語は大仰な語り口とは全く無縁であって、実にさりげなく語られるのです。
このショパンの幻想曲などはそう言うロンの洒落た語り口を味わうには最適の一枚でしょう。聞きようによっては、なんだかフォーレのピアノ音楽のように聞こえてしまうのも、その様な語り口ゆえでしょう。