フルニエ/チャイコフスキー:ロココ風の主題による変奏曲/ラムルー管弦楽団

チャイコフスキー:ロココ風の主題による変奏曲 作品33

(Cello)ピエール・フルニエ:ウジェーヌ・ビゴー指揮 ラムルー管弦楽団 1947年6月10日録音

これはSP盤時代の録音とは思えないほどに音質がよいので驚かされます。
想像にすぎませんが、いわゆる金属原盤なるものが良好な状態で保存されていて、そこから復刻が為されたのではないかと思われます。そうでなければ、殆ど針を通していないほどに保存状態のよいSP盤があったのかと言うことなのですが、それでも黴や埃は避けられませんから、おそらくは金属原盤が残っていたという事なのでしょう。

一般的には金属原盤というものは壊れやすいものなでほとんど残っていないと言われていたのですが、最近は「金属原盤からの復刻」と言うことを謳い文句にしたディスクがリリースされることが増えてきていますから、けっこう残っているのかも知れません。
そして、そう言う流れの中でこういう音源を聞くと、私たちが漠然と想像していたものよりはSP盤の音質は優れものだったようなのです。

なお、フルニエはこの作品を若い頃から何度も録音をしているのですが、彼のよく歌うチェロ(Sings better than anything that sings)にとってはその腕前を披露するには格好の素材だったことでしょう。
何故ならば、こういう音楽は立派に演奏してしまうと、チャイコフスキーがモーツァルトへのリスペクトを込めて「ロココ風」と記した典雅さが損なわれるからです。

かといって、おかしな科を作ると高雅さが毀損されますから、常に気品のある歌い回しを忘れないフルニエにとってはピッタリの作品だったのです。