グリンカ:ルスランとリュドミラ序曲
ハンス・クナッパーツブッシュ指揮 ベルリン交響楽団 1933年4月21日録音
「ルスランとリュドミラ」序曲と言えば、真っ先に思い浮かぶのはムラヴィンスキー&レニングラード・フィルによる超高速演奏です。あの録音は、まさにオーケストラ芸術における空前絶後の凄みを味あわせてくれます。
そして、このクナッパーツブッシュによる「ルスランとリュドミラ」序曲と言えば、それとは真逆の恐るべきスローテンポによる演奏です。
もしも、ムラヴィンスキーによる録音を聞いた後にこの録音を聞けば、それはもう「冗談」にしか思えないかも知れません。
オーケストラもベルリンフィルではなくてベルリン交響楽団ですから、悪く言えばちんどん屋のように聞こえる場面もあちこちにあったりします。
しかし、黙って聞いていれば、そこに摩訶不思議なクナッパーツブッシュの世界が広がることも事実なのです。
もちろん、そんな世界なんかごめん被るという人もいるでしょうが、毒に薬にもならない蒸留酒のような演奏を聞かされるよりはましだと思う人も少なくないはずです。