エーリヒ・クライバー/ヨーゼフ・シュトラウス:ワルツ「オーストリアの村つばめ/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

ヨーゼフ・シュトラウス:ワルツ「オーストリアの村つばめ」 op.164

エーリヒ・クライバー指揮 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 1933年録音

20年代にはポルタメントを多用したウィンナー・ワルツを聞かせてくれていたものが、30年代になると別人のようなスタイルに変身しています。
いわゆる「即物主義」的な演奏というのは戦後になってからクラシック音楽界を席巻したように思っていたのですが、その萌芽となるような要素は既に胚胎していたのです。

もちろん、その背景にはトスカニーニの影響があったことは間違いないでしょう。
その意味では、この30年代初頭にエーリヒがある程度まとまった数を録音したウィンナー・ワルツは非常に興味深い物が有ります。

ヨーゼフ・シュトラウス:ワルツ「オーストリアの村つばめ」 op.164

これはシュトラウスの弟であるヨーゼフの作品です。
作曲のきっかけとなったのは当時話題となった「オーストリアの村つばめ」という小節です。

ただし、長編小説を短いワルツで置き換えるのは不可能ですから、このワルトは小節の舞台となっているオーストリアの牧歌的な風景を描いた音楽になっています。
そして、ツバメはオーストリアの国鳥とされているので、このワルツは今もオーストリアの豊かな自然を象徴する音楽として親しまれています。

そのために、この作品は「美しき青きドナウ」などとは逆で、後から「歌詞」が付けられて合唱曲ともなり、とりわけウィーン少年合唱団のレパートリーとして重宝されています。