エーリヒ・クライバー/ヨハン・シュトラウス2世:ワルツ「千夜一夜物語/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

ヨハン・シュトラウス2世:ワルツ「千夜一夜物語」op.346

エーリヒ・クライバー指揮 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 1932年録音

20年代にはポルタメントを多用したウィンナー・ワルツを聞かせてくれていたものが、30年代になると別人のようなスタイルに変身しています。
いわゆる「即物主義」的な演奏というのは戦後になってからクラシック音楽界を席巻したように思っていたのですが、その萌芽となるような要素は既に胚胎していたのです。

もちろん、その背景にはトスカニーニの影響があったことは間違いないでしょう。
その意味では、この30年代初頭にエーリヒがある程度まとまった数を録音したウィンナー・ワルツは非常に興味深い物が有ります。

ヨハン・シュトラウス2世:ワルツ「千夜一夜物語」op.346

これもシュトラウスのワルツのなかでは有名曲になるのでしょうが、もとは彼のオペレッタ「インディゴと40人の盗賊」からの美味しいところ取りです。
当時は、世間で話題になったオペラやオペレッタから美味しい部分を抜き出して編曲するというのはよくやられました。著作権などと言う概念は全くなかったのですから、美味しく編曲すればやった者勝ちだったわけです。

もちろん、これは自作からの編曲ですから今の時代であっても何の問題もありません。
確か「南国のバラ」も「女王のレースのハンカチーフ」というオペレッタからの編曲だったはずです。

美味しいメロディラインを作ったのであれば、それを徹底的に使い回すのも芸の内だったのでしょうか。