モントゥー/ダンディ:交響曲第2番/サンフランシスコ交響楽団

ヴァンサン・ダンディ:交響曲第2番 変ロ長調 作品57
ピエール・モントゥー指揮 サンフランシスコ交響楽団 1942年3月2日~3日録音

ダンディと言えば真っ先に「フランスの山人の歌による交響曲」が思い浮かぶのですが、それ以外にも3曲の交響曲を残しています。

  1. 交響曲第1番イ短調「イタリア」
  2. フランスの山人の歌による交響曲 作品25
  3. 交響曲第2番変ロ長調 作品57
  4. 交響曲第3番ニ長調 小シンフォニア「ガリアの戦い」作品70

ダンディの師はフランクであり、本人は熱心なワグネリアンだったのですが、そう言う特徴が如実に表れているのがこの交響曲第2番です。
と言うよりは、ダンディにその様な作品があることを知っている人の方が少ないかも知れません。

恥ずかしながら、私もまた「フランスの山人の歌による交響曲」意外にも交響曲を書いていたなどとは全く知りませんでした。
ですから、モントゥーが1942年にこういう形で録音を残していたというのは実に貴重なのです。

何しろ、当時は「録音」という行為に対する重みは後の時代とは比べものになりませんでしたから、こういう超マイナー作品が録音されるというのは希有なことだった尾思われます。
そして、こういうモントゥーの手になる録音を聞いていると、何故にこの作品がかくも無視されるのが不思議に思えてくるのですが、聞き終わってみると、なるほどなと思う気持ちも湧いてくるのです。

不思議に思うのは、実に耳あたりのよい美しいメロディと豊かな響きに溢れているからです。それはもう十分すぎるほどに美しい音楽であり、その様な音楽が等閑視されるのは不当に思えるのです。
しかしながら、聞き終わってみると、確かに美しい音楽を聞いたという思いは残るのですが、同時に何とも言えず取り止めのない気分が残ってしまうことも事実なのです。つまりは、言い方が少しきついかも知れませんが、良質なBGMが流れていたような雰囲気なのかもしれません。

とは言え、モントゥーの棒は、この作品が持つ美しさを十分すぎるほどに引き出していますし、何よりも録音のクオリティが高いのには驚かされます。