アドルフ・ブッシュ/ブランデンブルク協奏曲第3番/ブッシュ・チェンバー・プレイヤーズ

J.S.バッハ:ブランデンブルク協奏曲第3番ト長調 BWV1048

アドルフ・ブッシュ指揮 (P)ルドルフ・ゼルキン ブッシュ・チェンバー・プレイヤーズ 1935年9月9日~17日録音

ルドルフ・ゼルキンと言えばいかにも「お爺さん」という姿が思い浮かぶのですが、アドルフ・ブッシュはさらにそのゼルキンの義父に当たりますから、本当に古い時代の人なんだと再認識させられます。(^^;

ゼルキンと言えばドイツ音楽の正当な継承者と言われるのですが、出自はユダヤ系のロシア人です。幼い頃にウィーンに移り住んでピアノと作曲を学ぶのですが、そんなゼルキンの才能を見いだしたのがアドルフ・ブッシュでした。
ゼルキンはわずか17歳の時に「偉大なドイツのヴァイオリニスト」であるアドルフ・ブッシュのデュオの相手として抜擢され、18才の時にバッハのブランデンブルク協奏曲の第5番で大成功をおさめます。

そして、その縁でブッシュの娘だったイレーネと結婚することになるのです。
しかしながら、その事がナチスが政権を握ると大きな災いのもととなるのですが、ブッシュはユダヤ人への敵視を隠そうとしないナチスに対して反旗を翻しドイツを去ることになります。

この一連のブランデンブルク協奏曲の録音はその様な経緯でドイツを離れてスイスに亡命した頃の録音です。
その事を振り返ってみれば、この二人の結びつきを確固たるものとした音楽であると同時に、まさにドイツそのもの音楽でもあるブランデンブルク協奏曲を選んだのはブッシュの意地のようなモノを感じます。
、後には「ドイツ音楽の正当な継承者」と言われるようになるユダヤ人のゼルキンと、そのユダヤ人の娘婿を守るためにともにドイツを去った「偉大なドイツのヴァイオリニスト」が協演して録音を残すというのは大きな意味があったのでしょう。

とは言え、ここでのゼルキンは通奏低音を担当しているだけなので、地味と言えば地味な存在ではあります。
にもかかわらず、その通奏低音を「ピアノ」で演奏しているがゆえに「うるさく感じられる」という人もいるようです。世の中には色んな人がいるものです。


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