エーリヒ・クライバー/ヨーゼフ・ランナー:ワルツ「シェーンブルンの人々」/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

ヨーゼフ・ランナー:ワルツ「シェーンブルンの人々」 op.200

エーリヒ・クライバー指揮 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 1931年録音

ヨーゼフ・ランナーはウィンナ・ワルツの様式を確立した音楽家であり、「ワルツの始祖」と呼ばれることもあります。そんなランナーを代表する作品の一つがこの「シェーンブルンの人々」です。
ウィンナー・ワルツは、彼のもとで働いていたヨハン・シュトラウス1世が独立をして両者が競合関係になる中で、その争いを通して形を整えていきました。そして、その父親たちの世代の遺産を受け継いでより洗練された形に仕上げたのがヨハン・シュトラウス2世でした。

ですから、このランナーのワルツは、私たちが「ウィンナー・ワルツ」と聞いて思い浮かべる音楽とは少しばかり雰囲気が異なります。
悪く言えばウィーンの田舎臭さを残している、よく言えば、シンプルでありながらどこか長閑で柔和な佇まいを持った音楽だとも言えます。

そして、その雰囲気が気に入ったのでしょうか、その旋律を自作に引用したのがストラヴィンスキーでした。
彼は「ペトルーシュカ」の中で、ムーア人の部屋の「バレリーナの踊り」で、このどこか田舎臭さが残る旋律を引用しているのです。

ただし、ここでおエーリヒの演奏はそう言うウィーンの田舎臭さよりは、ベルリンの近代的で生真面目な雰囲気が前面に出ています。ここにも、曲線を多用する音楽から脱却しようとしている姿が垣間見えます。