フォーレ:チェロとピアノのためのエレジー ハ短調 作品24
(Cello)ピエール・フルニエ:(P)アーネスト・ラッシュ 1951年6月3日&6日録音
チェロを習い始めた人ならば是非とも弾けるようになりたいと思う作品だそうです。
チェロの特徴はなんといっても「歌う」事です。
もちろん、それはヴァイオリンなども同じなのですが、音域が人間の声により近いので、その歌い回しはより人間的なものに近くなるのがチェロの魅力であり、落とし穴でもあるのでしょう。
この、一般的には「フォーレのエレジ-」と呼ばれるこの音楽も、深い嘆き節に満ちているのですが、そこに足を掬われるとド演歌になってしまいます。
世阿弥が語ったように「秘すれば花」であり、それを秘することなく表にさらけ出してしまえばいやらしさしか残りません。
それからもう一つ世阿弥は「後ろ姿を覚えねば、姿の俗なるところをわきまえず」とも言っています。
こういう深い感情に貫かれた音楽であればあるほど、それを突き放した地点から客観的に眺める姿勢がなければ、その感情は聞き手には伝わらないということなのでしょう。
フルニエと言えばノーブルと言うことがよく言われるのですが、その正体の一端はそう言う客観性にあるのかも知れないと思わせる録音です。