エルネスト・アンセルメ/モーツァルト:エクスルターテ・ユビラーテ/(S)ジャニーヌ・ミショー

モーツァルト:モテット「エクスルターテ・ユビラーテ」 K.165 (158a)

エルネスト・アンセルメ指揮 (S)ジャニーヌ・ミショー スイス・パリ音楽院管弦楽団 1948年録音

第2次大戦が終了すると、アンセルメはDeccaと専属契約を結びます。
アンセルメはエドワード・ルイスが1929年にDeccaレーベルを立ち上げたときから関係が始まっていますから、この専属契約は不思議ではないのですが、考えてみれば昔からのつきあいだからと言うだけで仕事が舞い込むほどこの世界は甘くはありません。
おそらく、「昔からの友達だから」と言うだけであれこれ便宜を計ってもらえるのは、どこかの国のお偉いさんとその友達くらいのものです。

そうではなくて、Deccaが戦後の柱の一つにアンセルメを据えたのは、彼の精緻な音楽づくりとDeccaの録音ポリシーが一致したからでしょう。
そして、そう言う精緻な音楽作りは、ともすれば雑になりがちなコンセルヴァトワールのオケが相手であっても貫徹しています。そして、そう言う精緻な音楽の姿をDeccaの録音は見事にとらえています。

おそらく(想像ですが)、この戦後すぐのDeccaによるアンセルメの録音は「Decca Sound」を作ったと言われるアーサー・ハディの手になるものではないかと思われます。
戦時中の冴えない録音と較べると異次元と言っていいほどの優秀録音に仕上がっています。

Janine Micheau

なお、ジャニーヌ・ミショー はフランスを代表するリリック・ソプラノと言われるのですが、「フィガロの結婚の」のケルビーノ、「セビリアの理髪師」のロジーナ、「ばらの騎士」のゾフィーなどを演じたと言えばだいたいの雰囲気が割るでしょう。

このソプラノの超絶技巧を披露する「エクスルターテ・ユビラーテ」でも、その魅力をいかんなくふりまいてくれています。