ティボー/スペイン交響曲/・アンセルメ指揮 スイス・ロマンド管弦楽団

ラロ:スペイン交響曲 ニ短調 Op.21

(Vn)ジャック・ティボー エルネスト・アンセルメ指揮 スイス・ロマンド管弦楽団 1941年録音

第2次大戦中のジャック・ティボーの姿勢は大部分のフランス人のものと変わりはなかったようです。

彼の経歴を紹介しているサイトなどでは「第二次世界大戦中はフランスにとどまり、ドイツでの演奏を拒否した」などと書かれています。

これはどう読むべきかというと、前段の「第二次世界大戦中はフランスにとどまり」というのは、消極的であってもヴィシー政権を容認したと言うことであり、後段の「ドイツでの演奏を拒否した」というのは、それでもナチスに対しては積極的に加担もしなかったけれど抵抗もしなかったと言うことです。
そして、それがヴィシー政権下における大部分のフランス人のスタンスだったのです。

ただし、その様なスタンスを維持し続けることがどれほど大変なことかというのは、例えばベルコールの「海の沈黙」などを読めばよく分かります。
高校時代に現国の先生に無理矢理読まされたあの作品は今も深く心の中に残っています。

そう言えばあの先生は教科書なんかは一切使わずに、ご自分が「これっ!」と思った作品を印刷してきて生徒に読ませていました。
島崎藤村の「夜明け前」を一つの学期を全部使って読んだこともありました。
しかし、あの授業がなければ、あの長大な小説を全巻読破するなどと言うことはなかったでしょうから、今から思えば感謝あるのみです。もっとも、高校生の時は毎週レポートの提出を求められたので私も含めて全員が「地獄じゃー!」と言っていましたが・・・。

このアンセルメとのスペイン交響曲は録音がそれほど芳しくないのが難なのですが、自由奔放なティボーの特徴が最もよくあらわれた演奏だと言えます。
アンセルメも後年のクールなイメージとは異なって実に熱い演奏を繰り広げていますが、それでも主はどこまで行ってもティボーです。

そして、こういう貴重な録音が残ったのも、スイスという、多大なる犠牲を払いながらも「中立」を維持し続けた国があったからです。


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