アンセルメ/ヘンデル:合奏協奏曲/デッカ弦楽合奏団

ヘンデル:合奏協奏曲 第4番 ホ短調 作品6-4, HWV.322

エルネスト・アンセルメ指揮 デッカ弦楽合奏団 1929年9月録音

ヘンデル:合奏協奏曲 第6番 ト短調 作品6-6, HWV 324

エルネスト・アンセルメ指揮 デッカ弦楽合奏団 1929年9月録音

ヘンデル:合奏協奏曲 第12番 ロ短調 作品6-12, HWV 330

エルネスト・アンセルメ指揮 デッカ弦楽合奏団 1929年9月録音

この録音についてはいろいろ調べたのですが、あまりにも古すぎるためなのか、詳しいことはよく分かりませんでした。
ただし、残された記録の断片からだけでも、あれこれと想像をふくらませることは出来ます。

まずは、オーケストラが「デッカ弦楽合奏団」となっていますから、録音は「Decca」だろうと思われます。
「Decca」は株式仲買人であったエドワード・ルイスによって1929年に設立されています。
そうなるとこの録音は「Decca」が設立されたばかりの黎明期の録音だと言うことになります。

アンセルメは戦後になってから「Decca」と専属契約を結び、50年代から60年代の「Decca」の表看板になるのですが、その関係は随分と古くて深いことがうかがえます。
ただし、この「デッカ弦楽合奏団」なるオーケストラの正体がよく分かりません。

アンセルメと言えば彼が1918年に設立した「スイス・ロマンド管弦楽団」と結びつけて語られるのですが、この「デッカ弦楽合奏団はそれの「覆面オーケストラ」ではないようです。
何故ならば、この「デッカ弦楽合奏団」のリーダーとして「ウィリアム・プリムローズ」の名前がクレジットされているからです。
設立したばかりのレーベルが録音機器をと「ウィリアム・プリムローズ」を携えてスイスにおもむいたとは考えられませんから、おそらくはロンドン在住の音楽家を呼び集めて臨時返済されたオケだっと思われます。

そして、「ウィリアム・プリムローズ」といえば世界的なヴィオラ奏者として知られているのですが、この時はまだヴァイオリン奏者として活躍していたと言うことです。

演奏に関しては時代がかった大袈裟な身振りとは無縁のスッキリした造形が後のアンセルメを思わせるものがあります。
おそらく、そう言う「いい加減さ」のないキッチリとした響きをつくり出していく能力に「Decca」は目をつけたのかも知れません。