カール・ベーム/喜歌劇「こうもり」序曲/シュターツカペレ・ドレスデン

J.シュトラウスⅡ世:喜歌劇「こうもり」序曲

カール・ベーム指揮 シュターツカペレ・ドレスデン 1939年録音

オーケストラがどのような響きで演奏するのかは、そのオーケストラ固有の響きがものを言うのは間違いはないのですが、指揮者がどのような響きを求めるのかも大きな影響を及ぼします。
既にふれたように、シュターツカペレ・ドレスデンが美しい響きを身にまとったオーケストラであることは事実なのですが、その美しさの質は時代によって随分と異なっています。そして、そこのベームというバイアスがかかっていることも考慮品kればいけないのでしょうが、この時代のシュターツカペレ・ドレスデンはかなり引き締まった響きを持っているので驚かされます。

こういう響きだと雰囲気で誤魔化すことも出来ませんから、機能的には非常に高いものを持っていたことがうかがえます。
録音が古くて高域が伸びきっていないので響きがいささかかたくなっているのは残念なのですが、それでも、音楽をやっていく上では最良の環境だったと述べたベームの言葉に嘘はなかったようです。

しかし、さらにじっくりと聞いていくと、その奥にはいかにも古き良きドイツを思わせる力瘤のようなものも合わせ持っています。
そう考えると、戦後のシュターツカペレ・ドレスデンは随分とオシャレになったものだと感心させられます。

それとも、強固な堅牢性が持ち味のベームのもとだからこそこういう響きに担ったのでしょうか。