カール・ベーム/アイネ・クライネ・ナハトムジーク/ウィーン・フィル

モーツァルト:セレナーデ第13番「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」

カール・ベーム指揮 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 1943年録音

ユダヤ人への大量虐殺が始まったのは1942年だと言われています。その年にベームとベルリンフィルはこの上もなく美しいジュピター(K.551)を演奏していました。
そして、その翌年にはウィーンフィルとの間でかくも歌心に満ちたアイネ・クライネを演奏しています。

それは、この年に、念願のウィーン国立歌劇場の音楽監督に就任しているからでしょうか。
そう言えば、強制収容所の責任者は毎朝美しいモーツァルトを聴いてから出勤をして「ユダヤ人問題の最終的解決」に携わっていたという話を聞いたことがあります。

その様な強制収容所での日々にモーツァルトの音楽はどのように響いていたのでしょう。

そして、ふとこういう想像も浮かんでくるのです。
もしかしたら、今もモーツァルトの音楽を聞いて仕事に出かけていくイスラエルの兵士もいるのではないだろうか・・・と。

随分昔の話ですが、モロッコを旅行したときにヒトラーを尊敬しているという若者に出会ったことがありました。お互いに拙い英語ではあったのですが、何故と問いかける私に、彼ははっきりと「ユダヤ人を皆殺しにしたから」とこたえました。
これも、古い話ですが、中国の西域を旅行したときにウィグルの若者から日本人は偉いと声をかけられたことがあります。
彼もまたはっきりと「中国人を皆殺しにしたから」と答えてくれました。

マルクスは歴史は繰り返すと言いました。一度目は悲劇として、二度目は喜劇として。
しかし、繰り返される歴史はどこまで行っても悲劇でしかないように見えてきます。

もちろん、「罪なき者のみ石を投げよ」ではあるのですが。

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