ベーム/マイスタージンガー前奏曲/シュターツカペレ・ドレスデン

ワーグナー:楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」第1幕への前奏曲

カール・ベーム指揮 シュターツカペレ・ドレスデン 1939年録音

別のところでも少しふれたのですが、戦争の時代に生きざるを得なかったドイツの文化人は、好むと好まざるとに関わらずナチスとの関係を問われざるを得ませんでした。
クラシック音楽の世界では、70年以上の時が経過しているのに、未だにフルトヴェングラーやカラヤンの責任が問われ続けています。
そして、ベームに対する評価がその死後に急速に凋落した背景には、「ベーム=ナチス」疑惑があったとも言われています。

ベームが指揮者として多くのことを学んだのはブルーノ・ワルターであり、そのブルーノ。ワルターはナチスからの執拗な迫害によってドイツを去り、アメリカへの亡命を余儀なくされたことは今さら繰り返すまでもありません。
そう言うナチス支配下のドイツで、例えば「ナチスのハ長調」とも言われたマイスタージンガーの前奏曲を様々な場で積極的に指揮したことは否定しようのない事実です。

しかし、そう言うベームとワルターの親交は戦後も長く続いたというのももう一つの事実です。
さらに、もう一つ、一部のウィーンフィルの古参楽団員によってまことしやかに語られた「ベームもナチス党員」だったというのは事実ではなかったようです。
だからといって、戦時下での彼の振る舞いは決して褒められたものでなかったことも事実です。

ただし、一つだけ確かなことは、ベームにとってドレスデンでの活動は理想的なものであり、それを失うと言うことは考えられなかったと言うことです。
そして、ベーム自身が理想的な場だと語ったドレスデンのオケとのマイスタージンガー前奏曲がとても素晴らしいので、何ともはや困ってしまうのです。


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