ワルター/シューマン:交響曲第3番/ニューヨーク・フィル

シューマン:交響曲第3番 変ホ長調 作品97「ライン」

ブルーノ・ワルター指揮 ニューヨーク・フィル 1941年録音

ワルターのシューマンというのは珍しいのではないでしょうか。
彼が最晩年にコロンビア響を指揮した一連の録音でもシューマンの作品は全く取り上げていなかったように記憶しています。

それにしても、話は脇にそれますが、この「記憶している」「記憶していない」というのは便利な言葉です。(^^v
不都合な事実を隠蔽するためにはこれほど便利な言葉もありませんし、真面目にきちんと調べるのが面倒くさいときにも使えますね。なので、もしもコロンビア響とシューマンの作品を録音したものがあれば誰か指摘してください。(ピアノ協奏曲の伴奏はありますね)

ただし、このニューヨーク・フィルとの古い録音を聞いてみれば、ワルターが決してシューマンの作品を苦手にしていたわけではないことがよく分かります。
ワルターはアメリカに亡命してからは、そのアメリカの風に身を添わして男性的で剛直な表現へと変身したと言われます。

しかし、この録音は亡命してからそれほど日をおいていないためか、結構あちこちで見得を切るような素振りが見受けられます。
私などは、そう言う場面に出くわすと魅力を感じるのですが、当時のアメリカの聴衆にとってはそう言うスタイルは古くさいものと感じられたのでしょうか。

アメリカのオーケストラが持つニュートラルで強力な機能と、ワルターのヨーロッパ的な感性が上手い具合にミックスされた演奏だと言えそうです。
それから、アメリカは第2次大戦下でもそれほど国内経済は大きな影響を受けていなかったためか、40年代に入っても録音のクオリティは低下しなかったようです。これも41年録音にしては音の状態はかなり良好です。

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