クリュイタンス/ハイドン:交響曲第104番「ロンドン」/パリ音楽院管弦楽団

ハイドン:交響曲第104番 ニ長調「ロンドン」

アンドレ・クリュイタンス指揮 パリ音楽院管弦楽団 1950年4月5日&7日録音

ベルギーという国は小国でありながら多言語国家で、フランス語、オランダ語(フラマン語)、ドイツ語の3カ国語が公用語となっています。
クリュイタンスはこの中のフランス語圏に生まれて育ったのですが、音楽を学ぶためにはドイツ語を学ぶべきという父親の考えによってドイツ語を学びます。

ちなみに、ドイツ語はベルギー王室の言語であるのですが、国民全体から見れば1%にも満たないマイナー言語ですから、この父親の選択はクリュイタンスにとっては大きな福音となる判断でした。
フランスとドイツというのはとなりあった国でありながら、ラテンとゲルマンという対照的な民族的資質を持った国です。そう言う根っこの部分で大きな違いがあるのですから、その根っこに依拠する文化や芸術に対する価値観も大きく異なって当然でした。

それはオーケストラという存在一つを見るだけで明らかです。
ドイツのオケは一人ひとりのプレーヤーが全体に奉仕するのは当然ですが、フランスのオケには個人を押し殺してまでも全体に奉仕するなどという考えは最初から存在しません。
当然の事ながら、そこから生み出される音楽の相貌も随分と異なります。

ですから、もっともフランス的なオケであるコンセルヴァトワールのオケが、ドイツ古典派の源流とも言うべきハイドンの交響曲を演奏するとどうなるのかという興味があるのです。
結果はそれぞれで判断していただければいいことなのですが、この録音の保存状態の芳しくないのを聞く限りは、それほど大切にされては来なかったことは間違いのないようです。

全体としてみれば、クリュイタンスのゲルマン的知性が前面に出ているように思われるのですが、それだけではどうしようもない部分があるのがハイドンの難しさです。
ですから、時々オレがオレがと管楽器が前に出てくるような部分がかえって面白く感じられたりするので困ってしまいます。


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