クーセヴィツキー/展覧会の絵(ラヴェル編曲)/ボストン交響楽団

モデスト・ムソルグスキー:展覧会の絵(ラヴェル編曲


セルゲイ・クーセヴィツキー指揮 ボストン交響楽団 1930年10月28日~30日録音

今さら言うまでもないことですが、この作品のオーケストラ編曲をラヴェルに依頼したのはクーセヴィツキーです。
そこで、彼がラヴェルに求めたのは、演奏効果の上がる華やかなオーケストラ曲に仕立て上げてもらうことだったようです。さらに言えば、これを依頼したときにはムソルグスキーの自筆版ではなくて、リムスキー=コルサコフによる改訂版しか出回っていませんでしたから、結果としてかなり上品で口当たりのよい音楽に仕上がっています。

どういう事かと言えば、荒々しさにあふれていたムソルグスキーの音楽を、リムスキー=コルサコフとラヴェルという、クラシック音楽界を代表する管弦楽法の大家によって角が丸め込まれて、きらびやかな衣装をまとわされてしまったのです。
ですから、このラヴェル編曲による「展覧会の絵」と、無する愚スキーの「展覧会の絵」はほとんど別の作品だと考えた方が妥当なように思われるのです。

そして、このクーセヴィツキーによる1930年の録音は、このラヴェル編曲による「展覧会の絵」の初録音です。
いつものように、クーセヴィツキーは速めのテンポでキビキビと演奏しているのですが、その中で歌うべきところは入念に表情付けを行っています。

また、30年の録音とは信じられないほどの良好な音質ですから、ラヴェルならではの華やかなオーケストラの響きも十分に楽しめます。