アンドレ・クリュイタンス指揮 パリ音楽院管弦楽団 1949年10月21日~22日録音
ラヴェル:マ・メール・ロワ
ラヴェルが友人の二人の子供たちのために書いたピアノ連弾曲が原曲です。二人の子どもうちの一人ミミはラヴェルがいつもひざの上に自分を乗せて物語をお話ししてくれたと回想しています。
もともとはこの二人の子どもでも演奏できるように作曲したつもりだったのですが、そこはもう、ピアノという楽器の限界を極めたラヴェルのことですから、仕上がってみれば普通の子どもの手には負えない作品になっていました。
ラヴェルの膝の上でお話を聞かせてもらったミミは後年次のように語っていました。
私も兄もそのありがたみがわかる年齢でもなく、むしろこれを演奏するのは大変だなと思っていました。
ラヴェルはこの曲の初演を私たちに望んでピアノのレッスンをしてくれましたが、私は聴衆の面前で演奏することを考えるだけで体がこわばってしまいました。
そんなこんなで、結局この初演をミミとその兄に託すのは無理と判断したラヴェルは、マルグリット・ロンの二人の弟子(11歳のジャンヌ・ルルーと14歳のジュヌヴィエーヴ・デュロニー)に初演を託します。
そして、このピアノ連弾による作品を聞いたジャック・ルーシェ(テアトル・デ・ザールの支配人)は、この作品をバレエ音楽にすることをラヴェルに依頼します。さらに、その事もきっかけになったと思われるのですが、ピアノ連弾版をそのままオーケストレーションした管弦楽版も同時に作曲することになります。
クリュイタンスの演奏は、ともすればラヴェルならではの豪奢なオーケストレーションが誇示される事が多いこの作品に対して、どちらかといえば幼い子どもに物語ってみせるような雰囲気を大切にしているように聞こえます。
もっとも、録音が古いとのとアンサンブルが緩いのでそう聞こえるのかも知れませんが。(^^;