クリュイタンス/アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ/ジャンヌ=マリー・ダル

アンドレ・クリュイタンス指揮 (P)ジャンヌ=マリー・ダルレ パリ音楽院管弦楽団 1951年4月30日録音

ショパン:アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ Op.22

「ジャンヌ=マリー・ダルレ」というピアニストを記憶に留めている人は殆どいないと思われます。
しかし、その経歴を辿ってみれば、それはまさにフランス近代音楽の歴史そのものです。

フォーレやラヴェル等と親交を結び、ピアノはマルグリット・ロンに学び、さらにはサン=サーンスからは彼の協奏曲について稽古をつけてもらった・・・(^^v・・・というですから大したものです。
そういうこともあってか、彼女の周囲はショパンやリストのスペシャリストとして売り出すつもりだったようなのですが、結果はサン=サーンスのスペシャリストとして名を残すことになりました。

また、アメリカでの演奏活動をほとんど行わなかったのは、当時のヨーロッパのピアニストとしては珍しい存在でした。
ショパンやリストのスペシャリストとしてアメリカでも活躍していればもう少し名を残したのでしょうが、それは彼女の生き方ではなかったようです。

聞いてみれば分かるように、当時のピアニストの中ではかなりしっかりとしたテクニックを持った人だったようです。
しかし、演奏スタイルはそう言うテクニックを前面に出してバリバリと弾き倒すようなタイプではなくて、どちらかと言えば微妙なニュアンスや優雅さを大切にするタイプだったようです。

そして、それは前半の「Andate spianato」だけでなく、後半の華やかな「Grande polonaise」に入っても基本的には変わりませんし、クリュイタンスの指揮もその様なダレルのピアノの邪魔にならないように控えめにつけらています。
それを物足りないと感じるか、そこに「大人の芸」を感じるかは人それぞれだと思うのです。

しかし、私などは「どうだ、オレって上手いだろう!」というドヤ顔が見えてきそうな演奏よりは好ましく思えるのですが、いかがなものでしょうか。