クリュイタンス/ラロ:スペイン交響曲/フランチェスカッティ

ラロ:スペイン交響曲 Op.21

アンドレ・クリュイタンス指揮 (Vn)ジノ・フランチェスカッティ パリ・コロンビア交響楽団 1946年11月26日録音

長い戦争が漸く終わった時期に、何もこんな「暗い」音楽を録音しなくてもいいのにと思うのですが、聞いてみれば意外なほどに明るくてからっとした音楽に仕上がっています。
それはシューリヒトの戦後すぐの録音を聞いたときにも感じたことなのですが、長い鬱屈の時代を通り抜けた開放感のようなものが感じ取れる演奏になっています。

とは言え、クリュイタンスがナチス占領下のフランスにおいてどのように音楽活動を続けていたのかは余りよく分かりませんでした。
1932年からフランス各地の歌劇場で活動をはじめ、戦時下の1944年にはパリ・オペラ座の指揮者に就任していますから、おそらくは音楽だけに徹して日々淡々と務めを果たしていたのでしょう。

フランチェスカッティの場合は1939年にニューヨーク・フィルと共演してアメリカデビューを果たし、そのままニューヨークに定住しています。
ですから、それほど過酷な経験をしたわけではなかったのようなのですが、それでも戦争というものは全ての人に対してとんでもない鬱屈を与えたものであることが、この戦後の解放感と開放感にあふれる音楽から逆に強く感じとることが出来ます。

また、戦後すぐの時期としては録音は非情に優秀であり、フランチェスカッティの持ち味である滴るような「美音」も上手くすくい上げられていることも見逃せない魅力となっています。

ただし、フランテェスカッティのスペイン交響曲と言えばミトロプーロスとの録音を思い出しますし、クリュイタンスの方もミルシテインとの協演盤を思い出してしまいます。
おまけに、オーケストラの方も「パリ・コロンビア交響楽団」という得体の知れない覆面オーケストラです。

そう言う意味ではどうしても視野の外に出てしまいがちな録音ですが、十分に聞くに値する価値を持っていることは間違いありません。

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