シューリヒト/ベートーベン:交響曲第2番/スイス・ロマンド管弦楽団 1946年録音

ベートーベン:交響曲第2番 ニ長調 作品36

カール・シューリヒト指揮 スイス・ロマンド管弦楽団 1946年録音

長年にわたって雌伏を強いられてきたシューリヒトに漸く日が射すときがやってきます。
1944年7月には、ドレスデンの音楽監督となることを契約するるのです。

何と、シューリヒト63才の時でした!!

しかし、その契約はナチスからの横やりが入ったようで上手く事が運ばなくなったのです。シューリヒトは、ただ「時代がそれを許さなかった」とのみ伝えています。

シューリヒトとマリア・マーサ・バンズ

そして、おそらくはその事によって踏ん切りがついたのでしょう、その年の秋にスイスに移住をすることを決心します。ついでに、マリア・マーサ・バンズと言う女性と結婚する事も決心したようです。(^^;

その時すでに彼は64才になっていたのですが、それは事実上の亡命でした。
そして、そのスイスにおいて、エルネスト・アンセルメの助力によってスイス・ロマンド管弦楽団と仕事を始めることになります。

しかし、禍福はあざなえる縄の如しで、多くのドイツ人音楽家が戦後になってナチスとの関係を否定するために多くの時間と労力を費やさざるを得なかった中で、シューリヒトは何の問題もなくこのスイスにおいて活動をはじめることが出来ました。
そして、この46年のスイス・ロマンド管弦楽団との演奏からは鬱屈した演奏の時代が終わった事への喜びのようなものが爆発しています。

フルトヴェングラーの音楽は悲劇的な時代が似合いますが、シューリヒトの音楽には希望に満ちた新しい時代こそが相応しいようです。
なお、「1947年2月14日ジュネーヴ放送局スタジオ録音」という音源もあるようなのですが、それはどうやら別音源のようです。