クーレンカンプ/レーガー:ヴァイオリン協奏曲/コンセルトヘボウ管弦楽団 1944年録音

マックス・レーガー:ヴァイオリン協奏曲 イ長調 作品101

(Vn)ゲオルク・クーレンカンプ/ウィレム・ヴァン・オッテルロー指揮 ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団 1944年10月16日録音

1944年の10月と言えば、ノルマンディーに上陸した連合軍がベルギーのブリュッセルを解放し、まさにオランダが主戦場となって激しい戦闘が行われていた時期でした。
さすがに、そう言う時期なので、ドイツ人の作曲家による作品を、ドイツ人のヴァイオリニストとドイツ人の指揮者で演奏会を行っているのは仕方のないことでしょう・・・と言うか、よくもそんな状況下で演奏会が行えたものです。

おまけに、そこで取り上げたのがレーガーのヴァイオリン協奏曲!!
とにかく、途轍もなく長い作品です。

このクーレンカンプとオッテルローによる演奏はかなりはやめのテンポだと思うのですが、それでも50分を超える演奏時間です。
50分と言えば交響曲でもかなり長い作品になるのですが、それがヴァイオリン協奏曲だというのですから驚いてしまいます。

そして、さらに驚くのは、その長さはブルックナーのような同じような旋律の繰り返しによって尺が延びるのではなくて、次から次へと新しいアイテムを繰り出すことによって尺が延びていることです。その意味ではとんでもなく複雑で濃厚な音楽です。それだけに、明日の命も分からないような中で、よくぞこんな音楽を取り上げたもんだと感心するしかありません。

しかし、そう言う状況を念頭において、このオルガン的な響きをバックに美しく歌っていくヴァイオリンを聞いていると、そこからはこの世の終末を説く黙示録を聞いているような思いにとらわれます。