フルトヴェングラー/ブラームス:交響曲第1番/コンセルトヘボウ管弦楽団 1950年録音

ブラームス:交響曲第1番 ハ短調 作品68

ヴィルヘルム・フルトヴェングラー指揮 ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団 1950年7月13日録音

先に紹介したように、フルトヴェングラーがコンセルトヘボウをオケを指揮したのは戦後ではこの1回だけです。ちなみに、戦前も2回しか指揮台には立っていないようなので、この両者の間には本当に接点がなかったようです。
そして、そう言う手探り状態と言うこともあったのでしょうか、おそらくはプログラムの前半と思われるベートーベンの1番では、オーケストラの響きも作品の造形もフルトヴェングラーにしては随分とスッキリした感じの演奏でした。

もしかしたら、オケの編成も少しは刈り込んでいたのかもしれません。
それと比べれば、この日のメインと思われるブラームスの方はそれなりに音楽はうねっていますし、響きも重いです。

とは言え、コンセルトヘボウはベイヌムの統治下で5年を過ごしていますので、既に直線的な造形を信条とするオケに変わっていたようです。
フルトヴェングラーはこの翌年に 北ドイツ放送交響楽団とブラームスの1番を録音しているのですが、それほどには上手くいっていないことは明らかです。
それに録音のクオリティもあまりよくないので、あくまでもコンセルトヘボウとの唯一の顔合わせという「歴史」的価値に重点があると言わざるを得ません。