ブルックナー:交響曲第4番変ホ長調 「ロマンティック」
オットー・クレンペラー指揮 ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団 1947年12月4日録音
ワルターを招いてマーラーの1番を取り上げたのは10月だったのですが、その2ヶ月後には今度はクレンペラーを招いてブルックナーの4番を取り上げています。
長い戦争が終わって新しい時代がいよいよ始まったという意気込みのようなものが感じられます。
ただし、その意気込みの質はワルターとクレンペラーでは少しばかり異なったようです。
ワルターは押しも押されもせぬ巨匠であり、その穏やかな人柄も相まってどこか祝典的な雰囲気が漂っていました。
しかし、このクレンペラーはそのザッハリヒカイトな音楽作りとと、おそらくはその狷介な人柄も相まって(^^;、戦後という新しい時代に向かってまなじりを決して進んでいくという緊張感のようなものが漂います。
そして、コンセルトヘボウもその様な緊張感を心地よいものと受け取ったようで、それは同時にメンゲルベルクの時代が既に過去のものとなったことを宣言しています。
それにしても、これはとんでもなく速いテンポのブルックナーです。
その凄まじさは「ザッハリヒカイト」という言葉ですら逃げ出しそうな演奏なのですが聴衆はそれを異とは思わず大きな拍手を送っています。
指揮者もオーケストラも、そして聴衆もまた新しい時代に向かって歩を進めはじめたことを刻み込んだ貴重な記録と言えます。