ポール・パレー指揮 ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団 1940年1月18日録音
リヒャルト・シュトラウス:ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら
これもまたナチスによるオランダ侵攻直前の演奏会です。
こうしてみると、コンセルトヘボウというのは、そう言う時の流れを前にしてかなり強い意志を持ったプログラムを組んでいたことが伺えます。
ドイツ人の指揮者のシューリヒトを招いてのユダヤ人であるマーラーの作品、イギリス人の指揮者のボールトを招いてのイギリス人の作曲家であるエルガーの作品、そしてここではフランス人指揮者であるパレーを招いてリヒャルト・シュトラウスの作品を演奏しています。
おそらく、ナチスシンパにとってはいちいちしゃくに障るプログラムだったことでしょう。
ただし、そう言うプログラムに対して、どの指揮者もいい仕事をしています。
戦後はアメリカを中心として、剛直極まる表現で素晴らしい演奏を展開したのがパレーだったのですが、その豪快な音楽作りは既にこの時代から貫かれていたことがよく分かります。
もちろん、コンセルトヘボウもそう言うパレーの指示に応えて、これまた豪快な音を鳴り響かせています。
本当に、このオーケストラは優秀だったのだと感心させられます。