カラヤン/モーツァルト:交響曲第33番/ ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 1946年10月録音

モーツァルト:交響曲第33番変ロ長調 K.319

ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 1946年10月18日、19日録音

引き続き、「カラヤン 栄光の裏側に」から。

カラヤンがナチス党員だったことに対して、この書では次のように書いています。

「アーヘンやベルリンでの昔の出来事はもうなんの意味ももたなかった。そうしたことについてはなにもしゃべらないのが一番利口なやり方であった。」
しかし、彼が何もしゃべらなかったのは、ナチスに荷担した過去だけではなかったようです。

1947年秋には早くもウィーンフィルとの共演によりさまざまな作品が録音された」と、その本には明確に書かれていて、46年9月から始まった一連の録音に関しては一言も触れられていません。
レッグによって、自分の品定めをされるかのようなこれらの録音は、彼にとっては「なかったこと」にしてしまいたいほどに、屈辱的な出来事だったのでしょうか。

確かに、それら一連の録音は、「演奏禁止」は「公開の場」での演奏が禁止されているだけで、録音のように、「公開されていない場」での演奏活動はそれに含まれないというレッグの強引な解釈に基づくものだったようです。
ただし、それが「非公開」だったとしても、後の「伝記」においても蓋をしておかなければいけないような内容でもなく、それに何よりも、「1946年録音のウィーンフィル」というクレジットのついたレコードが広く世に出回っているのです。

それだけに、この「塗りつぶし」には、カラヤンの強いこだわりがあったことが伺えます。