カラヤン/シューベルト:ザ・グレート/ ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 1946年9月録音

シューベルト:交響曲第8(9)番 ハ長調 「ザ・グレート」 D.944

ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 1946年9月15日~17日&19日~20日録音

先に紹介したベートーベンの8番とこのシューベルトの「ザ・グレート」が、カラヤンにとっての戦後最初の録音となりました。
聞くところによると、カラヤンの演奏禁止処分は正式には解除されていなかったようなのですが、レッグが独断で見切り発車のように録音を行ったようです。

それにしても、ここで聞くことのできるカラヤンの気迫たるや、凄まじいものがあります。おそらく、この録音の結果は、今後の自分の人生を左右するかもしれない重みがあったでしょうから、それは当然といえば当然だったのかもしれません。
おそらく、レッグはカラヤンの才能を疑ってはいなかったでしょうが、それでも結果が駄目ならば「お払い箱」になる可能性もあったわけです。
面白いのは、バッハマンによるカラヤンの正式な伝記{栄光の裏側」には、この46年の録音活動については一言も触れられていないのです。

そこに書かれているのは次の通りです。

「カラヤンはレコードで名をあげ、みそぎの灰の中から若返ってあらわれる不死鳥として公に紹介されることになった」
1947年秋には早くもウィーンフィルとの共演により様々な作品が録音された」

おそらく、46年からの録音はカラヤンにとっては試験を受けているようなものだったのでしょう。そこからは、まさにカラヤンらしからぬ髪の毛を振り乱したような必死さが伝わってきそうな演奏ばかりです。
そんな格好悪い姿は消してしまいたかったのかもしれません。

それにしても、「みそぎの灰の中から若返ってあらわれる不死鳥」とは凄い表現です。