カラヤン/ベートーベン:交響曲第8番

ベートーベン:交響曲第8番 ヘ長調 作品93

ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 1946年9月13日~15日録音

同情すべき点もあるのですが、カラヤンがれっきとしたナチス党員であったことは否定しようのない事実でした。
ただし、私が思うに、彼の最大の罪は指揮者としての職を得るために当局の言い分を受け入れてナチスの党員になったことではなくて、その事について彼が一切何も語らなかったことです。

ただし、戦争中の自分の行為について一切口を噤んで、戦後は「ミンシュ主義者」として活動を再開した人は日本にも多いのですから、カラヤンだけを取り上げてそれを問い詰めるのは不公平なのかもしれません。
さらに言えば、「戦争責任」などという大それたものではなくても、人は多かれ少なかれ脛に傷を抱えていて、それには口を噤んで生きているものです。

キリストではありませんが「あなたがたのうちで罪のないものが、最初に彼女に石を投げなさい」と言われれば、だれも石打つことは出来ないものです。

非ナチ化裁判で無罪を勝ち取ったカラヤンが戦後はじめてのぞんだ録音がこのベートーベンの8番です。