カラヤン/モーツァルト:交響曲第35番/トリノ・イタリア放送交響楽団 1942年10月録音

モーツァルト:交響曲第35番 ニ長調 「ハフナー」 K.385

ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮 トリノ・イタリア放送交響楽団 1942年10月録音

1950年代の前半にカラヤンはイタリアのオケとよく共演をしていて、見方によっては一つの拠点であったかと思われるほどです。
確かに、レッグに見いだされてフィルハーモニア管との録音もスタートしていたのですが、この時期のカラヤンはミラノ・スカラ座のドイツ・オペラ部門総監督も務めていました。そして、その縁もあってか、イタリアのオケの指揮台に立つ機会も多かったようです。

考えてみれば、50年代前半と言えば未だにフルトヴェングラーは存命であり、その影響力のためにウィーン・フィルは指揮できず、ベルリン・フィルからも滅多にお呼びはかからない状態だったのです。
その意味でも、このイタリアでの活動は貴重な足場だったはずです。
そして、フルトヴェングラーの死によってウィーンでも、ベルリンでも活動が出来るようになると、スカラ座は別として、その他のイタリアのオケとの共演はぱったりと途絶えてしまいます。
そして、このプライドの高い男はそう言う自分の過去はあまり表に出したくなかったようで、その時の録音が表に出てくるのは著作権が切れたことによってでした。

しかし、そう言う過去をさらに掘り返してみると、すでに第2次大戦中にイタリアのオケと演奏を行っていたのです。
とは言え、1942年の録音ですから、イタリアが未だ同盟国だった時代なので罪に問われるような筋合いのものではないようです。

なかなかに「立派」な演奏であり、きわめてオーソドックスなモーツァルトです。それほどにケチをつけるところもありませんし、逆に聞くものの心を揺さぶるような強いエモーションも感じませんから、そう言う当たり障りのないことしかかけないというのが正直なところです。
しかしながら、今の耳から聞いても古さのようなモノは全く感じないのももう一つの事実です。
もしかしたら、そのあたりにこそ、カラヤンの持っていた能力の素晴らしさが垣間見られるのかもしれません。


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