チャイコフスキー:交響曲第5番 ホ短調 Op.64
レオポルド・ストコフスキー指揮 フィラデルフィア管弦楽団 1934年11月12日録音
ストコフスキーはその生涯でいったい何回この作品を演奏したのでしょうか。録音だけでも片手では足りないほどの回数をこなしているのではないでしょうか。
それくらいに、彼はこの作品と死ぬまでつき合い続けたのです。
よく「名刺がわり」という言葉がありますが、ストコフスキーの「名刺がわり」はバッハの編曲ものなどではなく、このチャイコフスキーの5番だったのではないかと思います。
1934年という古い録音なのですが、フィラデルフィア管の美しい響きが不満を感じないレベルで収録されています。
そして、「ストコフスキー=ゲテモノ」みたいないわれ方をされることが多いのですが、ここで聞くことのできるチャイコフスキーは造形を大きく崩すことはないようです。しかし、聞き進んでいくとストコフスキーらしい濃厚な歌い回しや強弱の対比を際だたせたりする場面があって、さすがはストコ節と思わせてくれます。
ある方の記述によると、この時の演奏がそれ以後の演奏の基本形になっているとのことです。