トスカニーニ/コリオラン「序曲」

ベートーベン:コリオラン「序曲」 ハ短調 Op.62

アルトゥーロ・トスカニーニ指揮 NBC交響楽団 1939年11月11日録音

弦楽器のユニゾンに続いて主和音が鳴り響いた後に次の音が出てこないので、ファイルが破損しているのかと思いました。(^^;
これはもう「悪い冗談」とかしか思えないような演奏なのですが、それでも指揮者が「原典尊重」を金看板にしているトスカニーニです。

そこで、スコアを確認してみました。これがファースト。ヴァイオリンの冒頭の部分です。

うーん、確かに弦楽器のユニゾンに続いて鳴り響く主和音は4分音符で、その後に休止符が続きます。
弦楽器のユニゾンで鳴り響く音価が「8」とすると主和音は「1」、その後に休止が「7」続くことになっています。そして、この音型がきちんと3回繰り返されます。
それを一切の斟酌を抜きにして生真面目に音にすればこういう風になるのでしょうか。

さらにその後も、すべてのフレーズを最後を短めに切り上げていますから、その「へんてこ渡」はますます増幅していく一方です。
ストコフスキーでさえ裸足で逃げていきそうな演奏が「原典尊重」というポリシーから生み出されるとは、驚きを通りこして笑ってしまうのですが、まさに歴程気温減を漁っている楽しみ、ここに極まれりです。