メンゲルベルク/シューベルト:ザ・グレート

シューベルト:交響曲第8(9)番 ハ長調 「ザ・グレート」 D.944

ウィレム・メンゲルベルク指揮 アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団 1942年11月録音

先日紹介した「未完成」とほぼ同じ時期に録音されたと思われるのですが、音質的にはこちらの方がはるかに優れています。その違いはおそらくは録音のクオリティと言うよりは保存状態の違いに起因していると思われます。
そして、演奏の方もメンゲルベルクという指揮者に対する認識を改めさせるには十分すぎるほどの力があります。

まずは冒頭のホルンのソロからしてかなり早めのテンポで始まります。この作品は、このソロを聞くだけでその後の成り行きは概ね想像がつくのですが、何しろ指揮者がメンゲルベルクなので冒頭だけは颯爽とはじめておいて、その後で得意の寝技を繰り出すのではないかと身構えていると、結局は何も起こらずに(^^;、、実に颯爽とした佇まいのまま第1楽章は終わってしまいます。
ならば、第2楽章の「Andante con moto」では変則技が出るのかと期待していると、さすがに少しは落ち着いたテンポにはなって部分的にはメンゲルベルクらしい表情付けがあらわれるのですが、それでもあくどいと言うこともなく常識的な範囲にとどまっています。

そして、続くScherzo楽章も一般的な解釈から言えばやや早めのテンポ設定で引き締まった造形で押し切ります。
もちろん、部分的にはあちこちにメンゲルベルクらしい表情付けは頻出するのですが、それもまた聞き所をより楽しく聞いてもらうための「味付け」みたいなものです。
そして、最終楽章では、その様な味付けもほぼ皆無では均斉のとれた古典的な佇まいで造形しているのは見事なものです。そのために、「天国的な長さ」どころか12分を切る演奏時間で一気呵成に作品を締めくくっています。

もしも、メンゲルベルクのことをデフォルメの巨匠みたいに思っている人がいれば、是非とも一度は聞いてもらいたい演奏です。

4件のコメント

  1. 約半世紀前、当時中学生であった私が最初に購入した廉価盤、これが私のグレイトの標準になり、その後社会人となって、思いのままレコードを購入できるようになると、フルトヴェングラーやベームの演奏がとても遅く感じられ、いらいらしながら聞いた記憶が蘇りました。ここに久しぶりにこの演奏を聴き、わくわく感が蘇ってきました。私の中の最高のグレイト!

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    Norman Cousins.

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