シューベルト:交響曲第8番 ロ短調 D.759 「未完成」
ウィレム・メンゲルベルク指揮 アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団 1942年11月録音
音質はあまりよろしくないです。強奏部分ではっきりと音が割れていますから、その部分では実に残念です。
しかし、その事は、裏返してみれば「音が割れる」くらいに強奏していると言うことでもあります。「未完成」という音楽は基本的には「美しく」演奏するのが基本というか、常識ですから、ここまで強奏している演奏はレアな部類に入ります。
ただ、面白いのは、そう言う「力強さ」一辺倒ではなくて、そこはそれメンゲルベルクですから、ここぞという場面では濃厚な表情付けを恐れることはありません。
結果として、男性的な力感を前面に押し出しながら、あちこちで女性的な色気がこぼれるという不思議な音楽が仕上がっています。
この音質では歴史的名盤と言い張るつもりは全くないのですが、それでも聞いて面白いと言うことでは「保障」付きです。