ヘンデル:合奏協奏曲第5番 ニ長調 作品6の5(HWV 323)
ハンス・クナッパーツブッシュ指揮 ベルリンフィルハーモニー管弦楽団 1944年2月15日録音
この年の2月15日と3月10日にベルリン大聖堂でベルリン・フィルとコンサートを行っていて、その両日でこのヘンデルの合奏協奏曲作品6の5が取り上げられています。
録音として残されているのは従来3月10日のコンサートだと思われていたのですが、最近の研究で2月15日のコンサートであることが確定したようです。
2月15日のプログラムは以下の通りです。
- ヘンデル:合奏協奏曲第5番(vn:エーリッヒ・レーン&ウルリヒ・グレーリンク vc:アルテュール・トロエスター)
- J.S.バッハ:管弦楽組曲第3番
- モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲 K.294a(vn:エーリッヒ・レーン)
- モーツァルト:交響曲第41番「ジュピター」
同年の1月27日には900日に及ぶレニングラード攻防戦がソ連側の勝利によって終了し、レニングラードは解放されます。そしてをこれを切っ掛けに東部戦線ではソ連は反転攻勢に転じます。
この後の歴史を知るものにとっては、このクナッパーツブッシュによるヘンデルの合奏協奏曲は第3帝国の挽歌のように聞こえます。
それにしても、驚くのは録音のクオリティの高さです。
そして、クナッパーツブッシュの手にかかると、このバロックの小品がとても立派な音楽に聞こえることです。
そう言えば、この時代は多くの「巨匠」と呼ばれる指揮者たちはこういう合奏協奏曲を取り上げていましたが、昨今は一部のピリオド演奏の団体を除けばほとんど取り上げる人はいないようです。
そう言うことも、昨今のクラシック音楽の世界をつまらなくしている一つの要因かもしれません。