クナッパーツブッシュ/ハイドン:交響曲 第94番「驚愕」

ハイドン:交響曲 第94番 ト長調 「驚愕」Hob I 94

ハンス・クナッパーツブッシュ指揮 ベルリンフィルハーモニー管弦楽団 1941年10月30日録音

10月26日にベルリンフィルと以下のプログラムでコンサートを行っています。

  1. リヒャルト・シュトラウス:「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」
  2. ハイドン:交響曲 第94番「驚愕」
  3. ニコライ:「ウィンザーの陽気な女房たち」序曲
  4. ヨハン・シュトラウス2世:「春の声」
  5. コムツァーク2世:「バーデン娘」

このコンサートは「うきうき気分のコンサート」とか呼ばれるものだったようなのですが、決してナチスが戦意高揚のために企画したようなものではなかったようで、その伝統は今の「ピクニック・コンサート」と呼ばれるようなものにもつながっているようです。
ちなみに、このコンサートの3日前にドイツ軍はオデッサを占領して、ルーマニア軍とともにユダヤ人の大量虐殺を行っています。(ルーマニア軍のみによる虐殺という説もあり)
そして、このコンサートの演目からハイドンの「驚愕」とコムツァークの「バーデン娘」を10月30日に録音しています。

クナッパーツブッシュに直接責任のある話ではないのですが、何という「コメディ!」

音源は針音が少し気になると言えば気になるのですが、音質はこの時代のものとしては良好です。
いかにもクナッパーツブッシュらしくどっしりとした感じで始まり、細部への表情付けも彼らしくて聞きごたえは十分です。特に有名な第2楽章の歌い回しなどはクナッパーツブッシュ以外では絶対に聞くことのできない歌謡性に満ちています。

そう言えば、彼はこの作品がよほどお気に入りだったのかよく取り上げていて、録音も数多く残っていますね。そんな中でもこれは出色の一枚です。