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バッハ:2つのヴァイオリンのための協奏曲 ニ短調 BWV 1043

(Vn)イェフディ・メニューイン&ジョルジュ・エネスコ
ピエール・モントゥー指揮 パリ交響楽団 1932年6月4日録音

何も記されていませんが、間違いなくファーストがメニューヒンで、セカンドがエネスコでしょう。
それはちょうど、ダヴィッド・オイストラフと息子のイーゴリ・オイストラフが録音した演奏と同じ事が言えるのでしょうが、ここでのメニューヒンは、ダヴィッドが自らの名声を最大限に生かして息子のイーゴリを売り出すためだったと言うような憶測が入り込む隙間すらありません。

ただ、調べてみて驚いたのは、この録音の時エネスコは51才だったのに対して、モントゥーはそれよりも年上の57才だったという事です。モントゥーが晩年の活躍をしていた時期にはエネスコは既になくなっていましたから、何となくこの録音は円熟期をむかえたエネスコと若きモントゥーというイメージを持ったのですが、それは全くの勘違いだったわけです。

モントゥーという人は本当に長生きをして、最後の最後まで衰えると言うことを知らずに活動した超人だったのです。
そして、そういう偉大な二人の音楽家がもっとも脂ののりきった時期に、16才の誕生日を迎えたばかりの神童をサポートしているのです。

そう言う意味では、クラシック音楽の歴史の貴重な一断面を切り取った録音と言えそうです。