メニューイン /バッハ:ヴァイオリン協奏曲第2番

バッハ:ヴァイオリン協奏曲第2番 ホ長調 BWV 1042

(Vn)イェフディ・メニューイン ジョルジュ・エネスコ指揮 パリ交響楽団 1933年4月21日録音

異論はあるかもしれませんが、五嶋みどりが僅か17才だった1988年に録音したパガニーニのカプリースが彼女の中で一つの頂点を築いてしまったように、メニューヒンもまたこの10代の頃に築いた頂点を後の自分がどうしても越えることができなかったのかも入れません。
ただし、その頂点の高さは五嶋みどりほど絶対的なものではなかったのですが・・・。

しかし、考えてみればこの二人には奇妙な共通点が存在します。
メニューヒンは大人として成熟するにつれて様々な人道的活動に熱心に取り組みました。五嶋みどりもまた若い頃から様々な社会的事業に関心を持ち、それは年を重ねるにつれてますます熱心になっています。

だから何なんだと言われれば言葉につまるのですが、それでも若い時代に一つの頂点を築いてしまった人の悲哀のようなモノは感じざるを得ません。
そう言えば、イギリスのダイアナ妃も誰もが憧れるシンデレラストーリーの後の不幸な結末の中で人道的活動にのめり込んでいきました。

私のような凡人にはその様な選ばれた人の哀しみは想像することも出来ませんが、それでも死ぬまでヴァイオリンを弾き続けたメニューヒンの偉大さは心に刻み込んでおくべきなのでしょう。