フルトヴェングラー 指揮 ベルリン・フィル/舞踏への勧誘

カール・マリア・フォン・ウェーバー/舞踏への勧誘

ヴィルヘルム・フルトヴェングラー 指揮 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 1932年録音

とあるドイツ人青年が最も忌まわしいドイツを感じさせられるのはワーグナーではなくてウェーバー、とりわけ「魔弾の射手」だといっていました。それは裏を返せば、、良くも悪くも、最もドイ的なものをはらんだ音楽だと言うことでしょう。
そう言えば、カラヤンはあれほど多くの録音を残したのに、何故か「魔弾の射手」の全曲録音を残していませんし、コンサートでも一度も取り上げていません。
それに対してフルトヴェングラーはその生涯で30回近くも「魔弾の射手」を取り上げています。

この事は、曖昧な言葉で申し訳ないのですが、いわゆる「ドイツ的」なものに対する「本意」が見え隠れしているように感じます。
カラヤンは「ドイツ的」なものを方便としてのし上がり、フルトヴェングラーは「ドイツ的」なものが捨てきれなかったがゆえにナチス支配下のドイツを捨てることが出来なかった。

とは言え、ここで聞くことのできるフルトヴェングラーのウェーバーからは鬱蒼としたおぞましさよりは深沈とした悲しみがにじみ出しています。