ワーグナー/ジークフリートの葬送行進曲
ヴィルヘルム・フルトヴェングラー 指揮 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 1933年録音
伝えられた話では、フルトヴェングラーはこの録音に際してオーケストラに対して「心の底からのひそやかな悲しみ」を求め、「大げさな悲劇」を要求しなかったそうです。
やろうと思えばいくらでも大袈裟な悲しみの表出が可能な音楽だけに、ベルリンフェルのシェフとして絶対的な自信に満ちあふれていた時期のフルトヴェングラーとはどのような指揮者だったのかを分からせてくれる録音です。
直線的に硬質の悲しみを表出していく姿は、後年のフルトヴェングラーの姿だけで彼を理解することの誤りを如実に示しています。